観天望気講座

観天望気講座170 ~霧に包囲された理由(わけ)~

雨が上がり、雨を降らせた暗い雲は南東(写真右側)へ抜けていき、北西(写真左側)から青空が広がってきました。そして、それと同時に下の方から霧が上がってきました(写真2)。

写真1
写真2 霧があがってくる(カメラ①のアングル)

そしてこの雲は、写真の右側(南東)から左側(北西)に流れていきました(写真3)。

写真3 雲の流れ

一方、反対側の谷沿いにも霧が流れてきました(写真4)。

写真4 写真3と反対側(西側)の霧の流れ(カメラの方向②)

これらの霧に囲まれた撮影ポイントですが、ここだけは霧に覆われませんでした。この場所では、このような現象が時々あります。それでは、この霧はどうして生まれ、どうして撮影ポイントは霧に覆われなかったのでしょうか?

ひとつ目の要因は夜半に激しい雨が降ったこと。雨が地面に沁み込んで、土の中の水分が蒸発していき、空気中に水蒸気が溜まっていました。そこに諏訪湖の水蒸気が上川に沿って流れ込み、さらに宮川からの水蒸気が南側から入って茅野駅の近くで合流したため、空気はこれ以上水蒸気を含めなくなって霧が発生。それが上川に沿って昇っていきました(図1の水色の矢印)。それが2つに川が分かれるところで、霧の進路も左右に分かれていきました。写真2、3が東側の川沿いに、写真4が西側の川沿いに流れた霧です。撮影ポイントは2つの川の間の高台にあるため、霧はそこを避けるように進み、撮影ポイントでは霧に覆われなかったという訳です。

図1 霧の動きと撮影位置とカメラのアングル

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

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