雲のワンポイント講座

雲のワンポイント講座第29回 ~満腹の空気が作り出した濃霧~

先日、長野県茅野市で濃霧が発生しました。

 

写真1 濃霧の発生した茅野市豊平

なぜ、濃い霧が発生したのでしょうか?この日は、本州の南岸沿いを通過した低気圧の影響で昨夜からの雪が雨に変わり、日中は降ったりやんだりの天気でした。空気は含むことができる水蒸気の量が温度によって変わります。温度が高い空気ほど沢山の水蒸気を含むことができ、温度が低い空気ほど水蒸気をあまり含むことができなくなります。人間で言えば、ご飯を沢山食べられる胃袋が大きい人が温度の高い空気、少食であまり食べられない人が温度の低い空気です。

 

前日からの雪や雨で湿度が100%に近く、空気はお腹いっぱいに近い状態でした。そこに夜になって気温が少し下がり、空気の胃袋が小さくなったことや積雪や濡れた地面からの蒸発も加わって空気はもうお腹いっぱい状態。やがて含み切れなくなり、吐き出したものが霧になったのです。人間で言えば「オエーッ」といったところでしょうか。もちろん、霧や雲ができるにはエアロゾルと呼ばれる核になるものが必要なのですが、それはちょっと難しいので、また機会があればご説明します。

 

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

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