旅の記録 ⁄ 関東・山梨第33回空の百名山を探す旅 ~男体山~ 2022年10月7日 2022年10月7日by 猪熊 隆之 第5回目となる「山頂で観天望気」の舞台は、奥日光の男体山。その佇まいはその名に恥じない堂々としたもの。そして、山頂から広がる絶景も見事です。男体山から北に延びる尾根は、天気の境界にもなっており、関東平野側からの湿った空気の入り具合、日本海側の雲の様子などを眺めることができる山です。 志津峠の上空は高積雲 (こうせきうん、別名ひつじ雲) が広がる。この後、高層雲(こうそううん、別名おぼろ雲)に変わると天気が崩れることが多い。 しばらく登ると太郎山の姿がくっきりと。この日は姫神山での講座のときと同じように、上層の谷の影響で上層・中層の雲が賑やか。500hPa面の高度・渦度予想図からこの雲の広がりは予想できる。 日本海側の山では、このような雲が日本海の方角に出ているとき、天候が崩れることが多い。 時折青空が広がり、美しい巻雲(けんうん、別名すじ雲)が姿を現してくれた。 女峰山と高原山の間、鬼怒川に沿って水蒸気(湿った空気)が入る様子が分かる。その水蒸気が山の斜面で上昇して雲を作っている。 時間が経つにつれて水蒸気の入り込みが多くなり、雲が賑やかになっていく。 やや強い正渦度移流(上昇気流を強める要因)が入ると、高層雲が厚くなっていく。西の空から高層雲が厚くなっていくと、数時間後に雨が降り出すことが多いが、このときは、さらに西の空が明るくなっていて、浅間山(左側)、正面奥に北アルプス、右側には上信国境の山並みがはっきりと見えて、この雲が抜けると天気が回復することが分かる。空を見るときは、西側の空を眺めるのが基本。 厚い高層雲の下では尾流雲(びりゅううん)が。尾っぽのように垂れ下がった雲のことで、雲の中で雲粒同士が衝突、合体して大きくなっていくとその重さで落下し、それが蒸発しながら消えていってる様子が分かる。蒸発せずに地表に到達すると雨になる。この雲が風上側で見られるときはその後、雨が降り出すことが多い。 下山時には北アルプス方面に見えていた空の明るい部分が来て、青空が広がってくる。高層雲の上に巻雲が見られ、雲が立体的にみられる。