雲のワンポイント講座

雲のワンポイント講座 第20回 ~気流の乱れによる雲~

今回は11月27日に見られた八ヶ岳上空と南アルプス方面の雲について見ていきます。

左側の写真は、八ヶ岳上空の雲です。上空3km位にある強風軸(風が周りに比べて強まっている場所)がかかり、山岳波と呼ばれる空気の波によって雲が発生している所に、雲粒が成長して雲の中で下降気流が起きて気流が乱れていることで発生しました。

一方、右側の写真は、南アルプス方面です。囲みの部分に注目すると雲が列を成している様子が見られます。普通、こういうときは破線の矢印のように雲の列に直交な方向から風が吹いていますが、今回は風と同じ向き(実線の矢印)になっています。これは、雲が濃くなっている部分では、水蒸気が入りやすく、雲が薄くなっているところでは水蒸気が入りにくくなっているからです。伊那盆地から上空の風に乗って運ばれてきた水蒸気は、鋸岳~守屋山の中で凹んでいる部分を通り、雲を発生させます。雲が濃くなっているのは、凹んでいる部分の風下側にあたります。逆に山頂付近では水蒸気がそこで遮られるので、雲があまり発生しません。そのため、そこでは雲が薄くなるのです。なお、雲がうねっているのは、山を越えたときに風が波打つからです。

写真

地形図と水蒸気の通り道