今回は、雲ではなくて、雨氷についてです。
今日(2024年2月22日)は、長野県中部で8年ぶりに大規模な雨氷(うひょう)が発生しました。
写真1 木に付着した雨氷
雨氷が発生するときは、停滞前線が日本付近に停滞するときが多いです。前線は暖かい空気と冷たい空気がぶつかる所にできますが、地上付近だけでなく、上空に向かって延びています。前線の北側では地面付近に冷たい空気が入る一方で、上空には暖かい空気が南から流れ込みます(図1)。
図1 雨氷が発生する様子(図の右側が北、左側が南)
前線の上空には暖かい空気があるので、落下してきた雪は暖かい空気を通る中で雨に変わり、それが地面に落ちていきます。一旦、雨に変わると、氷点下の空気を通っても余程低温になったり、長い間落下しない限り、再び雪に変わることはありません。
しかしながら、氷点下の中でかろうじて水滴でいる雨のため、木や草、地面などに付着するとたちまち凍り付いてしまうのです。それが雨氷です。
長野県中部では2016年に大規模な雨氷が発生しました(写真2,写真3)。
写真2(上) まるで雨氷の額縁(背景は蓼科山)/写真3(下) 雨氷に彩られた山
実際、今日の館野(茨城県)のエマグラムを見てみると(信州の近くには高層気象観測地点がないので)、上空2,500~3,000m付近に0℃以上の暖かい空気の層があり、そこを通ったときに雪が解けていることが分かります。また、その下の上空800~1,500m付近では、それより気温が低い空気の層があることが分かります。ヤマテンのある長野県茅野市は高原になっているので、標高800m~1,200m付近に氷点下の冷気があり、標高1,500m付近の八ヶ岳山荘では今朝3℃位と山麓より暖かく、黒百合ヒュッテや高見石など標高2,000m以上でも雨になりました。雨氷が出現する条件が揃っていたことが分かります。
次はいつ発生するのでしょうか?また、出会えることを期待しています。ただし、倒木や停電などの災害になることもあるので、ぬか喜びはできませんが・・・。
文、写真:猪熊