雲のワンポイント講座

雲のワンポイント講座 第22回 ~冬型のときの八ヶ岳の雲~

前回に続き、冬型のときの八ヶ岳の雲です。前回は、北西風のときの雲でしたが、今回は西風のときになります。

冬型の気圧配置になると、北、北西、西の風が吹きますが、この中でも八ヶ岳は西風のときにもっとも天気が悪くなります。

それは、八ヶ岳の西側には乗鞍岳と御嶽山があり、2つの山の間には標高1,200m位の開田高原があります。3,000mを越える2つの峰からすれば、この高原は大きく凹んでいる場所になります。日本海からの湿った空気は、凹んでいる場所を通り抜けていき、それがぶつかって来る位置にあるのが八ヶ岳です。八ヶ岳に入ってきた湿った空気が山で上昇させられて雲を作るので、八ヶ岳では西風のときに天気が悪くなります。

写真1 西風によって八ヶ岳で発生する雲

写真1のように、西風のときは山全体に雲がかかることが多くなります。特に、寒気が強いときは写真2のように、里でも雲がかかり、雪が降ります。このようなとき、山では10~20cm程度の積雪になることがあります。

写真2 里でも雲に覆われ、雪が降ることも

西風が吹くときの八ヶ岳の天気については、下の解説に詳しいので興味のある方はご覧ください。

猪熊隆之の観天望気講座51

https://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/38d288eabd9fe5086ae217b57138eb54

雲から山の天気を学ぼう

https://sangakujro.com/%e9%9b%b2%e3%81%8b%e3%82%89%e5%b1%b1%e3%81%ae%e5%a4%a9%e6%b0%97%e3%82%92%e5%ad%a6%e3%81%bc%e3%81%86%ef%bc%88%e7%ac%ac15%e5%9b%9e%ef%bc%89/

一方で、北西風のときは、北西側に北アルプスという長大な山脈があるので、そこで日本海からの湿った空気は遮られます。北風のときは、千曲川に沿って湿った空気が入ることもありますが、蓼科山や北横岳など八ヶ岳北部の山で食い止められるので、その他の八ヶ岳では雲ができません。

風向きは、予想天気図を見て確認することができます。北西風のときの冬型は、等圧線が南北に走って縦縞模様になります(図1)。

図1 北西風のときの冬型

一方で、西風のときは、等圧線が北西から南東方向に斜めに走っています。

図2 西風のときの冬型

ご自分が山に行かれる日の予想天気図を事前に確認することで、八ヶ岳で天気が悪くなるタイプの冬型かどうかを確認することができます。

ぜひ、試してみてください。

文責・写真:猪熊隆之

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