山に登っていて、山の片側は晴れているのに、反対側は雲に覆われているってことありますよね?平地では、山を挟んだ両側の天気の違いを見ることができませんが、山の上にいるときは、このような光景が見られます。それでは、どうして山を挟んで天気が異なることがあるのでしょうか?
1.水蒸気の量が山の両側で異なるとき
水蒸気を含んだ空気が上昇して冷やされると、水蒸気が雲粒に変わっていき、雲ができます。この水蒸気が山を挟んで片側に多く、片側に少ないと、山を挟んで天気が違ってきます。特に、山が単独峰でなく、長い山脈になっていると、こうした現象が良く発生します。水蒸気は、前号 http://sora100.net/course/kantenbouki/2650 で説明しましたように、夏場においては平地や河川、湖などに多く、これらが近くにある側で雲が発生することが多くなります。一方、水蒸気が少ない春や晩秋、冬においては海から風が吹いてくる風上側で雲が発生しやすくなります。海の上は絶えず、水分が蒸発しているので水蒸気が溜まっており、海から風が吹くと、その湿った空気が山に運ばれて斜面で上昇させられ、雲ができるのです。
2.風が強いとき
海からの風が強く吹くと、海から運ばれた水蒸気を含んだ空気が山の斜面を上昇し、雲を作ることは先ほど述べました。風が強いときは、山で雲ができた後、空気は山を吹き降りていきます。空気は下降していくと温められるので、雲は蒸発していき、風下側ではお天気が良くなることがあります。
ただし、水蒸気が多かったり、風が強すぎたりすると、山の反対側まで雲に覆われてしまいます(その場合にも平地に達する頃には雲が消えて晴れます)ので、条件が合わないと山を挟んで綺麗に天気が分かれることにはなりません。したがって、1よりも見られるチャンスは少ないです。
文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)
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